01-コラム

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一体であること

「イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル 2025」に行きました。ピアニストの紹介は割愛しますが、別次元の演奏で、今まで聴いたことのない音の響きに言葉になりませんでした。印象的だったのが、丁寧に挨拶した後に演奏に入る「間」でした。極めて...
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なぜ今、危機管理なのか

「自分だけは大丈夫」という思い込みは、日常の様々な場面で生じています。車道で赤信号になるのに、加速して交差点に進入する自動車を見かけます。他方で、信号が変わる瞬間に、横断歩道を慌てて渡ろうとする歩行者も見かけます。スマホを見ながら自動車や自...
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練習と本番

練習したことを本番で発揮する。仕事でもスポーツでも、こう考える人が多いと思います。確かに、練習が不足して身体に入っていなければ発揮のしようがありません。しかし、本番が練習通りにならないことも少なくありません。一般的に「本番だと思って練習する...
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佇まい(たたずまい)

10月下旬に3日間、大阪で「ワールドキャンプ2024」を開催しました。ワールドキャンプは心身統一合氣道会のインターナショナルなイベントで、海外支部の指導者と会員が参加する講習です。コロナ禍で何年も開催できませんでしたが、ようやく実現できまし...
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氣をみる

BS-TBSで放送されている「吉田類の酒場放浪記」という番組があります。2003年に始まって21年間も続いている長寿番組で、イラストレーターで俳人の吉田類さんが各地の酒場を紹介します。日が高いうちに酒場近くの駅から歩き始め、酒場のある地域を...
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安定と固定

心身統一合氣道の技は、投げの姿勢が盤石であることが重要で、姿勢が乱れると全く通じません。相手を導き投げるには、自らが整っていることが大前提です。したがって、盤石な姿勢を身につけることが上達の近道であり、それには道場での稽古だけではなく、日常...
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間とは何か

日本語には「間(ま)」という言葉があります。的確に捉えれば「間が良い」、捉え誤れば「間が悪い」となります。「間に合う」「間が抜ける」「間が持てない」など、様々な表現もあります。「間」には大きく分けて物理的間隔、時間的間隔、心理的間隔がありま...
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触れる

インド出身の方と一緒に、お店でインドのカレーを頂く機会がありました。スプーンやフォークを使わずに、手を使って食事をしていました。インドの食文化では手を使って食べることが一般的だそうで、食材の質感や温度を手を通じて直に感じ取り、五感で味わうこ...
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身につくプロセス

日本語には「身につく」という言葉があります。知識や技術などが、真に自分のものとなることです。体得する、血肉になる、身体の一部になる、とも言い換えられます。身につくプロセスにおいて、上手くいくときもあれば、上手くいかないときもあります。そして...
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いったん空ける

藤平光一先生の内弟子時代、大事に教えられたのが「器の水」の話です。今から水を注ごうとしているのに、器の中にすでに水があるとしたら、それ以上は注ぐことができません。新たな水を注ぐには、既に入っている水をいったん空ける必要があります。この「いっ...
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力を抜く

心身統一合氣道の技の稽古で、最も重要なのが「力を抜く」ことです。しかし、力を抜くことは決して簡単ではありません。自分では力を抜いているつもりでも、実際には入っているからです。「力み」には、自覚できる力みと、自覚できない力みがあります。自分で...
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思い込み

今から20年くらい前のことです。心身統一合氣道を集中的に学びたいと、ドイツから来た青年がいました。数年間の滞在で、あるとき、彼が学んでいる書を披露してくれました。まるで書家のような美しい筆遣いで、感嘆した私はこう伝えました。「ドイツの方なの...
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学ぶ感度

新しく出版する書籍の企画で、自分の内弟子時代を振り返る機会がありました。私にとって、あの時間はいったい何であったのか。通常は5年から10年かけてする内弟子修行を、私の場合は3年でした。私は継承者を目指していたので本当に務まるか早期に見極めを...
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本氣だから伝わる

通常、仕事には相手が存在しているので「期限」があります。チームワークにおいて期限は重要であり、一人でも「守らなくてもいい」という人がいると、全体の流れが停滞するだけでなく、安心して仕事を進めることができなくなります。日本において「車道は左側...
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幸せは人それぞれ

あなたは、何をしているときが幸せですか。目標を達成できたとき。欲しいものが手に入ったとき。美味しいものを食べているとき。仕事終わりの一杯。こういったときは、確かに幸福感に満ちているかもしれません。しかし、もし特別なことがなければ幸せでないの...
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何かしようとしない時間

アフリカを旅する日本人旅行者が、空を見上げる男性を見つけました。旅行者は男性に挨拶し、自分が日本からはるばる来たことを伝えて、「何か面白いものが見えますか」と男性に尋ねました。男性はひと言「日本では、面白いものがないと空を見上げないのか」。...
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相対化

「相対化」という言葉があります。一つだけではなく、他との関係において物事を理解することを指します。あるいは、同じ対象でも「近づいて見る」「離れて見る」など、立ち位置を変えることも相対化の一つです。私は7歳の頃からピアノを始めて、18歳になる...
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心身統一道とは

心身統一合氣道とは、「心身統一道」を土台とした合氣道です。心身統一道は、人間が本来持っている力を最大限に発揮するために、心と身体を磨くことを目的としています。スポーツ・芸術・ビジネスなど、様々な分野で私は指導していますが、その皆さんに、心身...
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「伝える」とは何か

内弟子時代に鍛えられたことの一つが「伝える」ことです。「伝える」とは何か。ひと言で表現すれば、伝えるとは「伝わる」ことです。いくら自分がしっかり伝えたつもりでも、相手に伝わっていなければ、伝えたことにはならない、という原則です。当時は週に1...
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1ミリずつのズレ

若手指導者の育成で、私は必ず「1ミリずつのズレ」の話をします。いちどに1メートルくらいズレたら、誰でも氣がつくことでしょう。しかし、1ミリずつのズレを認識することは、とても難しいものです。そして、氣づいたときには、取り返しのつかないズレにな...