
サントリー美術館(東京・六本木)で開催されている「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」を観てきました。
小林一三氏(逸翁)は阪急や東宝、宝塚歌劇を創った実業家として広く知られていますが、美術やお茶を生涯愛した数寄者でもあります。
展示室を巡りながら何より心に残ったのは、逸翁という人の「愉快さ」でした。宝塚歌劇の「清く、正しく、美しく」という言葉は、もともと「朗らかに」が頭についていたそうです。会場に並ぶ品々を眺めていると、その言葉どおりの明るさが伝わってきます。
与謝蕪村の「奥の細道画巻」をはじめとする味のある人物描写や、呉春の「白梅図屛風」の凛とした雰囲気も見事でした。
なかでも印象深かったのが茶道具の数々です。ヨーロッパのガラス小瓶を茶器に見立てたり、茶碗に自ら「家光公」と名づけたり。自作の歌劇の楽譜を棗(お茶の容器)に描かせているのに驚きました。お茶席に椅子を持ち込み、食事に洋食や丼物を出したという話も面白いです。
伝統をよく知っているからこそ、自由な工夫ができたのだと思います。「どうしたら来てくれた人が喜ぶか」を、誰よりも逸翁本人が面白がっていた姿が目に浮かびます。難しく考えず、目の前のことを朗らかに面白がる。逸翁のお茶目な人柄に触れ、何だか氣の出る展示でした。
この展覧会は11月8日(日)まで開催されています。会期中に展示替えがあります。

