大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱

東京都美術館で開催中の「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱」を鑑賞しました。

世界屈指の規模を誇る大英博物館の日本コレクションから、名品が里帰りする展覧会です。縄文土器から仏教美術、浮世絵、近代工芸まで、会場には実に多くの作品が並んでいました。長い年月を経てもなお、これほど良い状態で作品が残っていることに驚かされます。地震や火災など自然災害の多い日本の風土を思うと、こうして大切に守り継がれてきた歴史そのものに、あらためて重みを感じました。

私は昔から歌川広重の作品が好きで、今回も展示の前でしばらく見入ってしまいました。雨や風といった自然の気配や、それと共に生きる人々の姿が、繊細な筆使いで描かれています。

今回の展示で特に印象的だったのが、襖絵の再会でした。

桃山時代末期から江戸初期にかけて狩野派が描いた一連の襖絵は、もともと部屋を巡る春夏秋冬の空間として一体のものでした。それが明治初期に寺院や屋敷の取り壊しに伴って解体・売却され、一部は海外へ、一部は国内に渡りました。さらに1930年代、海外に渡った襖の一枚は、表と裏それぞれに描かれていた絵を美術商が薄く剥がして分離し、別々に売却したため、表面が大英博物館へ、裏面がシアトル美術館へと分かれていきました。

大英博物館の《秋冬花鳥図襖》、青森県中泊町・宮越家の《春景花鳥図襖》、シアトル美術館の《琴棋書画仙人図襖》。近年の調査で、これらがもとは一つの空間を成していたことがわかり、今回、約150年ぶりに一堂に揃ったといいます。空間の分断からおよそ一世紀半、さらには一枚の襖の表裏までもが引き離されていたと知ると、再びこうして対になって並んでいる姿には、他では味わえない見応えがありました。

海を越えて作品を守り伝えてきた人々の熱意と、時を超えて再び揃う巡り合わせの不思議さに触れる、良い時間となりました。

この展覧会は、東京都美術館(上野)で10月18日(日)まで開催されています。

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