サントリーホール(東京)で開催されたイーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル 2025 に行って来ました。
1980年のショパン国際ピアノコンクールに出場し、それまでのショパンの解釈とは異なる演奏という理由で本選落選、しかし、審査員の一人であったマルタ・アルゲリッチが「彼こそ天才よ!」と言って、抗議のために審査員を辞退する騒ぎとなったのは有名な話です。
今から10年くらい前に、ポゴレリッチのショパンの24のプレリュードをCDで聴いて、あまりに別次元な演奏に感動したのを鮮烈に覚えています。いつか生の演奏を聴きたいと思いつつ、なかなか都合がつかず、このリサイタルで10年来の希望が叶いました。
何という音、何という演奏なのでしょうか……。
グランドピアノという同じ楽器の演奏とは思えませんでした。この感動は言葉になりません。演奏に入る「間」も自然で、気がつくと会場内が一体になっています。おそらく、「演奏しよう」という意識ではなく、聴衆と同じ時間・空間を共有しているような感覚なのでしょう。
通常のピアノ・リサイタルよりも全席で価格が高かったためか、これほどの演奏にもかかわらず、空席が目立ちました。何と勿体ない!興行は簡単ではありませんが、「本物」に触れることは何事にも代えられない体験ですから、若い人達のための価格設定があると良いと感じました。
ホール満員で聴くべき、唯一無二の演奏でした。
プログラムは下記の通りです。
《プログラム》
モーツァルト:
アダージョ ロ短調 K. 540
幻想曲 ハ短調 K. 475
幻想曲 ニ短調 K. 397
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K. 331 「トルコ行進曲付き」
ショパン:
ノクターン 変ホ長調 Op. 55-2
3つのマズルカ Op. 59
ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op. 35 「葬送」
シベリウス:
悲しきワルツ op 44-1 ※アンコール
今秋には、ショパンのピアノ協奏曲第2番の演奏があるようなので、ぜひ行きたいと思います。