アルベール・マルケ展

SOMPO美術館(東京・新宿)で開催中の「アルベール・マルケ展」を観てきました。

展覧会に行くまで、私はマルケのことを知りませんでした。アンリ・マティスたちと一緒に活動していた画家とのことですが、とても静かな風景画が並んでいました。

派手な色はなく、独特の灰色や穏やかな色合いが使われていて、眺めていると気持ちまで静まってきます。予備知識なく絵を鑑賞するうちに、マルケの絵は、近くで見るのと離れて見るのとでは印象が驚くほど違うことに気がつきました。

絵のすぐ近くで見ると粗く見えて、何が描かれているのか分かりませんが、2メートルくらい離れて見ると精細に見えます。実は、それは粗さではなく、その光景がもつ要素を最小限に削ぎ落とした結果で、少し離れることで、それらの要素が混ざり合い、色彩の深さや空間の奥行き、その場の空気感を鮮明に表しているように感じました。

素晴らしい絵ばかりでしたが、中でも「ル・ピラ」(1935年)は、離れて見たときの陸・海・空のつながりの深さが特に印象に残りました。残念ながら、パソコンやスマホの画面、印刷物では、離れて見ても印象が変わりません。やはり現地に足を運ぶ価値があると思います。

最後の展示室にはマルケの素描があり、最小限の線により人や情景が活き活きと描かれていました。目に見える形から離れ、もっとも重要な要素だけに削ぎ落とす過程は、心身統一合氣道の技にも通じる部分があります。技の中でも、目に見える動きを追っているだけでは分からないことがあり、形から離れて氣の動きを見る過程によく似ていると感じました。

この展覧会は12月13日(日)まで開催されています。展示室が広くない美術館なので、少し離れて味わうためにも、まだ混雑しないうちの鑑賞をおすすめします。

タイトルとURLをコピーしました