
心身統一合氣道会の本部は半蔵門(東京都千代田区一番町)にあります。すぐに近くには皇居があり、駐日英国大使館などもあります。千鳥ヶ淵を歩いて20分くらいのところに国立近代美術館(MOMAT)があり、本部での仕事の合間に足を運ぶことがあります。
「チラシやポスターもなく、ひっそり開催しているすごい美術展がある」
そんな話を聞いて、国立近代美術館で開催されている「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」を鑑賞しました。美術はその時代を表すものですが、戦争画を主体に、1930年代から1970年代の時代と文化を振り返る展覧会です。
きな臭く突き進んでいく戦争直前、高揚感に溢れている開戦、惨禍が繰り広げられた戦争末期、深い傷跡が残った戦争直後、時代と共に変化している様子が、とても丁寧に展示されています。美術館や学芸員がどれほどの情熱を注いで実現したかが分かります。
戦後80年、私もそうですが戦争を体験していない人が本当に多くなりました。私の父は大学を半年繰り上げで卒業し戦地に行きましたので、父の話を通じて戦争を話を聴く機会がありました。現在では、自ら求めない限り、話を聴く機会ですらなくなりました。
戦争を起こさないために、国のあり方が最も重要なのですが、私たち一人一人が「戦争」というものに正面から向き合って、深く考えることこそ大事です。この展覧会のように、美術を通じることも一つの手段なのだと思います。深く心に残りました。
ひっそりと開催される理由は様々でしょうが、その一つは「戦争画展」と一括りにして問題視されることを回避しているように見受けました。開催できてこその展覧会ですが、これほど素晴らしい内容を正々堂々と告知できる世の中でありたいと感じます。
この展覧会は10月26日(日)まで国立近代美術館で開催されています。