
東京オペラシティコンサートホール(東京)で開催された「横山幸雄 ピアノ・リサイタル “入魂のショパン” Vol.16」を鑑賞しました。
横山さんはショパン国際ピアノコンクールで歴代の日本人として最年少入賞を果たした方で、クラシックのトップアーティストの一人です。教育者、音楽プロデューサーでもあります。
何と約5時間(5部制)のコンサートで、しかも、ショパンの大作ばかりが選ばれ、これだけの曲数を横山さん一人で弾きます。なぜそんなことが可能なのかが私の最大の関心事でした。
《プログラム》
<第1部>
ピアノ協奏曲 第1番 Op.11 (ピアノ独奏版)
ピアノ協奏曲 第2番 Op.21 (ピアノ独奏版)
<第2部>
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
ポロネーズ 第5番 Op.44
ポロネーズ 第6番 「英雄」 Op.53
ポロネーズ 第7番 「幻想ポロネーズ」 Op.61
<第3部>
スケルツォ 第1番 Op.20
スケルツォ 第2番 Op.31
スケルツォ 第3番 Op.39
スケルツォ 第4番 Op.54
幻想曲 Op.49
<第4部>
バラード 第1番 Op.23
バラード 第2番 Op.38
バラード 第3番 Op.47
バラード 第4番 Op.52
舟歌 Op.60
<第5部>
ピアノ・ソナタ 第2番 Op.35
ピアノ・ソナタ 第3番 Op.58
第1部でいきなりピアノコンチェルトが二つ(三楽章×2)、通常のピアノのパートだけではなく、オーケストラが弾くパートをピアノで演奏しています。つまり、休む間もなくずっと演奏し続けているわけです。これだけで既に驚愕です。
その後も圧倒的、かつ安定的な演奏が続きますが、第3部のスケルツォの演奏中に横山さんが咳き込むアクシデントがありました。それでも演奏には影響を与えませんでした。第5部ではさらに集中力が高まったような演奏でした。あっという間の5時間でした。
演奏する姿勢が盤石で、演奏の途中で乱れることがありませんでした。しっかりとした土台があるからこそ柔軟な腕・手・指先があり、驚異的な打鍵の正確性と厚みのある音量を実現していました。それは、しっかりと根の張った大木と風にそよぐ枝葉のようでした。
今回、とても良い席に恵まれて、横山さんの姿勢、手の動き、足の動き総てが間近で良く見えました。統一体の観点でたいへん勉強になりました。身体の強さ、体力、氣力、集中力、技巧、表現力、総て揃ってはじめて体現される圧巻の演奏でした。
心身統一合氣道の根幹である心身統一道は「土台づくり」を目的としています。昨日は大相撲の九重部屋で3時間ほどの朝稽古を見学しましたが、力士とピアニストではしていることは対極のようでも、土台づくりの観点では完全に一致していて面白く感じました。
ちなみに、9/7(日)に同じ会場で同じ規模のリサイタルを開催し、ベートーヴェンの5大ピアノソナタとラヴェルのピアノ独奏曲全曲を演奏するようです。横山さん、恐るべし……。