横尾忠則 連画の河

世田谷美術館(東京)で開催されている企画展「横尾忠則 連画の河」を鑑賞して来ました。

横尾忠則さんは日本を代表する画家の一人で、ご存知の方も多いと思います。メインテーマの「連画」とは、「昨日の自分」という他者の画を眺め、「今日の自分」が画を描き、「明日の自分」という他者に画を託す試みで、画家自身も予測できない新たな拡がりが生じます。

その起点となっている画は、横尾さんの郷里である兵庫県の川辺で篠山紀信さんが撮影した記念写真を元に描かれたもので、横尾さんの同級生たちが描かれています。そこには生者と死者が混在していて、「境界がない」ことが深く印象に残りました。

通常、一枚の画はそれで完結することが多いですが、この試みでは画と画の境界を感じることがなく、鑑賞していて不思議な感覚になりました。画の解説がないことも、頭で解釈する余地を与えず、感覚を呼び起こす一因になっていると感じました。

天地自然は生々流転して瞬時も止まることなく変化し続けています。昨日の自分、今日の自分、明日の自分は、繋がっていますが同じ存在ではありません。天地自然には境界はなく、認識する者が定めているだけです。横尾さんの画は天地自然の姿を表しているようです。

この展覧会は本日が初日で、世田谷美術館で6月22日(日)まで開催されています。写真撮影をできる絵画やエリアが多いのも魅力の一つだと思います。

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