統一体とは

このコラムは、心身統一合氣道を稽古していない方もお読みなので、できる限り、専門用語を使わずに表現するようにしています。

今回は逆に、もっとも重要な専門用語を解説したいと思います。

心身統一合氣道の「心身統一」とは何か。

「天地自然と一体であること(=氣が出ていること)」を指します。

心身統一合氣道の創始者の藤平光一先生は、初めて学ぶ方に「氣」を説くときに、「海の中で水を手で囲うようなもの」と説明しました。

自分の手の中にある水ですから、「私の水」と言えるかもしれません。しかし、そこは海の中。大海の水を囲っているに過ぎません。

そして、手の内側の水と外側の水が常に行き来をしていれば、その水が悪くなることはありません。何らかの理由で行き来が妨げられると、その水は悪くなります。

「氣」も同じで、天地自然の「氣」を自分が囲っているに過ぎません。

内側と外側で常に氣の行き来があることを「氣が出ている」といい、その氣が悪くなることはありません。何らかの理由で行き来が妨げられると、その氣は悪くなります。

私たちは天地自然の一部の存在ですが、その繋がりを忘れると、「孤」の存在になり、氣の行き来が滞ってしまうのです。氣が滞ることで、心身や周囲との関係などで様々な不調が表れます。

氣の行き来が活発な状態が「元氣」、停滞した状態が「病氣」です。

氣の働きを理解すると、氣が出ている状態を維持できるようになります。その一つが「氣を出せば、新たな氣が入って来る」ことです。

「出せば入って来る」のは自然界の法則で、呼吸もまた同じです。息は出せば入ってきますが、先に入れようとすると停滞します。

「氣を出す」ことが重要で、心身統一合氣道の稽古の目的なのです。

稽古では、「統一体(とういつたい)」という言葉もよく用います。

統一体とは「心身統一した状態(=氣が出ている状態)」です。

統一体の「体(たい)」は、文字通りに身体を意味するだけでなく、「名は体を表す」の表現のように、事物の本質を意味しています。

つまり、統一体とは「天地自然と一体である本来の状態」です。特別な状態ではなく、本来の状態ということです。

したがって、稽古で初めて統一体を体験すると、多くの人が、人間が本来持っている力を実感して驚きます。「自分には、これだけの力があったのか」と氣がつくのです。

統一体は、ありとあらゆる動きの土台になるため、実に多種多様な皆さんが、それぞれの分野で活用しています。

統一体かどうかを確かめるためには、幾つか目安があります。

一つは「バランスが取れている」こと。

自然な姿勢には、自然な安定があります。本来のバランスを確認することで、統一体かどうか分かります。

一つは「瞬時に動ける」こと。

自然な姿勢であれば、瞬時に動くことができます。すぐ反応できるか確認することで、統一体かどうか分かります。

一つは「パワーを発揮できる」こと。

自然な姿勢であれば、無理なくパワーを発揮できます。身体に負担が生じていないかで、統一体かどうか分かります。

いずれかが備わっていない場合、例えば、バランスは取れていても、すぐに動けないようなときは、統一体とは言えない、ということです。

最も重要なことは、身体の状態だけではなく、心の状態も整ってはじめて得られることです。

心身統一合氣道を日々稽古している皆さんは、統一体を磨いて、それぞれの分野で存分に活用して頂きたいと思います。

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