心身統一合氣道の稽古は「氣」に基づいて行います。英語で指導する場合には、「Ki principles」と表現します。
日本語に直訳すれば氣の原理ですが、この場合は「原理」というよりも、「働き」とした方が理解しやすいかもしれません。
「Ki principles」で特に重要なのが下記の三つです。
- When you are one with the universe, Ki naturally flows.
天地(自然)と一体であるとき、氣が通う - When Ki flows, you can use your mind freely.
氣が通っているとき、心を自由に使うことが出来る - When you extend Ki, new Ki comes naturally.
氣が出ているとき、新たな氣が入ってくる
一つずつ、簡潔に解説して行きたいと思います。
「天地(自然)と一体であるとき、氣が通う」
技の稽古において、相手を「投げよう」「コントロールしよう」とすると、相手とぶつかってしまい、結果として投げることが出来ません。これは自分と相手がバラバラの存在になっていることが主な原因です。相手と一体になって動くとき、相手とぶつかることなく投げられます。
ただし、相手と一体になるとは「相手に合わせる」ことではありません。十人いれば十人異なり、総ての人に自分を合わせることなど不可能です。相手に合わせようとすると、氣は滞って理解出来なくなります。
自分という存在が、外界(周囲)と一体であることによって氣が通います。そして、氣が通うから相手の状態を理解して導くことが出来ます。
物を持つときも「氣が通う」ことが重要です。剣をコントロールする意識が強いときは、自身と剣がバラバラになって剣に氣が通わなくなります。自身と剣が一体のとき、氣が通い、自由自在に使うことが出来ます。それが「筆」であっても「ゴルフクラブ」であっても同じことです。
「氣が通っているとき、心を自由に使うことが出来る」
氣が通っているとき、心を向けるべきことに向けることが出来ます。氣が滞っているとき、心は一つのことに執着してしまうのです。すると、本来使うべきことに使えなくなってしまいます。
嫌なことがあったとき、それが氣になってしまって、目の前のことにまったく心が向かないという経験がありませんか。これは、嫌なことがあったことで氣が滞り、本来使うべきことに、心をまったく使えなくなっているということです。
この状態を打破するには、氣の滞りを解消するしかありません。
「氣が出ているとき、新たな氣が入ってくる」
氣が滞っているとき、氣を引くとさらに滞りは大きくなります。辛いことがあったとき、誰とも関わらず独りふさぎ込んでいると、さらに辛くなっていくものです。
氣の滞りを解消するには、氣を出すことです。氣を出すことによって、新たな氣が入ってくるからです。
精神的にたいへんなときに、思い切って行動を起こしたことで、調子が戻ったというご経験はありませんか。あるいは、誰かに話を聴いてもらうことで心が楽になった、という経験もおありではないでしょうか。
「行動を起こす」ことも「話をする」ことも氣を出すことであり、それによって新たな氣が補給されるから元氣になるのです。万物の流れにおいて滞りが生じているときは「入れる」よりも「出す」ことが重要ですが、「氣」もまた同じです。
このように「Ki principles」を正しく理解して、日常で活用をすると、自分の持つ能力を存分に発揮出来るようになります。心身統一合氣道の稽古は、「Ki principles」の実践なのです。
本年10月に新たな本を出版することになりました。今回のテーマは、まさにこの「Ki principles」です。詳細が決まりましたら、またこのブログで告知いたします。