10月下旬に3日間、大阪で「ワールドキャンプ2024」を開催しました。
ワールドキャンプは心身統一合氣道会のインターナショナルなイベントで、海外支部の指導者と会員が参加する講習です。コロナ禍で何年も開催できませんでしたが、ようやく実現できました。
アメリカ・イギリス・オランダ・オーストラリア・スロベニア・スペイン・ドイツ・ベトナム・ベルギー・ロシア、そして日本全国から、約200名が参加しました。会場はたいへんな活気でした。
講習は総て私が英語で指導し、各言語に通訳されたので、会場では様々な言葉が聞こえました。
日本語には、形だけではなく内面のことまで含まれる言葉があります。英訳が難しく、一つの単語なのに、意味を正しく伝えるために長い説明が必要になることもあります。
その一つが「佇まい(たたずまい)」です。
一般的に、佇まいとはその人の姿勢や雰囲気、立ち振る舞いを指します。外見的な要素も含みますが、単なる立ち方や座り方ということではなく、その人の生き方や価値観を反映しています。
例えば、穏やかで堂々とした佇まいは、落ち着きや自信を感じさせます。反対に、険しくて慌ただしい佇まいは、不安や自信のなさを感じさせます。
私が20代の頃、あるとき外会場を使用する講習会の指導がありました。すぐ隣が板の間の道場で、剣道の稽古がまさに始まろうとしていました。
高段者と思われる指導者が静かに道場に入って来て、一礼をしました。その佇まいが素晴らしく、落ち着きや謙虚さ、感謝や思いやりなどを感じました。
その印象が心に深く残り、私自身も佇まいを意識するようになりました。内弟子修行で日々、藤平光一先生の佇まいに触れていたはずなのに、すっかり見落としていたことに気がついたのです。
佇まいは一つの要素ではなく、その人の総てが表れるものです。考え方や感情だけで変わるものではなく、知識や経験が増えることだけで得られるものでもありません。
佇まいが変わると相手や周囲に与える影響が明らかに変わります。重要な非言語コミュニケーションであり、信頼感や誠実さを与え、人間関係を円滑にしてくれるのです。
藤平光一先生は、その人が発する「氣」こそ佇まいだと説きました。氣には総てが表れています。
活氣や元氣など、良い氣を発していると相手や周囲と氣が通います。そして、氣が通っているからこそ相手を導き投げることができます。
心身統一合氣道の稽古の目的の一つであり、私自身も佇まいを磨き続けています。