何かしようとしない時間

 

アフリカを旅する日本人旅行者が、空を見上げる男性を見つけました。

旅行者は男性に挨拶し、自分が日本からはるばる来たことを伝えて、「何か面白いものが見えますか」と男性に尋ねました。

男性はひと言「日本では、面白いものがないと空を見上げないのか」。

なるほど、日本では何をするにも、たいていは「目的」があります。タイムパフォーマンスを考え、少ない時間で多くの成果を求めます。

一日に何十回、あるいは何百回とスマートフォンをチェックする現代。

ただ空を見上げて、天地自然の運行を感じる時間を設けるような人は、決して多くはないでしょう。

天地自然を感じられる時間を全く取れないと、繋がりが感じられず、「自分も天地自然の一部である」という事実を忘れてしまいます。

すると、孤独感が強くなって、漠然とした不安を覚えるのです。

自然豊かな環境にいるから天地自然を感じている、とは限りません。考え事で頭がいっぱいになったり、放心状態になったりすると、どんな環境にあっても感じられないものです。

様々な研究結果がスマートフォンへの依存が脳に与える悪影響を示し、生活の質(QOL)を低下させる危険性も指摘されています。

元々、私は稽古の時間や指導している時間はスマートフォンを使用できませんが、日常生活でも持たない時間を意識的に設けています。

ただ空を見上げるアフリカの男性と同じような時間を持つようにしています。私にとって、コンディションの維持に大切な時間なのです。

心が一つのことにとらわれることを「執着」といいます。

ひとたび執着すると、心は自在に働かなくなって動けなくなります。心が不自由になってしまうのです。

一緒に食事するときにスマートフォンに心がとらわれてしまうと、美味しさも半減し、楽しさも半減します。

心の働きが鈍くなると感動も、感謝も感じにくくなるのです。これは本当に恐ろしいことです。

あなたは、いったい「何に」とらわれやすいでしょうか。

ギュッと掴んで放せなくなっているときこそ、いったん手放して、天地自然を感じる時間をつくることが大切です。

たとえば、氣の呼吸法は、そのための時間です。

呼吸が静まることで、天地自然との繋がりを実感をもって思い出し、固まって動けなくなっている心が、また元通りに働き始めます。

勿論、氣の呼吸法のやり方にとらわれたら、元も子もありません。ただ、心地良く呼吸していれば良いのです。

一日のなかで、「何かしようとしない時間」を設けてみませんか。時間は人それぞれ、長くても短くても構いません。

天地自然との繋がりを実感できれば、心が自由になります。

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