伝わる声

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2021年4月にNHK総合の番組「あさイチ」にスタジオ生出演した際に、「全身リラックス運動」を紹介して、大きな反響がありました。

これは、無自覚の力みをリセットすることを目的とした運動です。

疲れやすさの原因である「力み」は、なかなか自覚をできません。自分では力んでいるつもりはないのに、夕方になるとヘトヘト。そういう人も多いのではないでしょうか。

そんな厄介な力み、実は、簡単な方法でリセットすることができます。

まずは、つま先立ちして自然にバランスの取れた姿勢を確認します。

次に、指先についた水滴を下に向けて払うイメージで指先を振ります。早く振ることよりも、心地良く振ることを心がけると良いでしょう。

このとき、指先を振った振動が体の中を伝わり足先まで届いていれば、リラックスできている、ということです。

途中で振動が止まっていたら、そこに無自覚の力みが潜んでいます。

力んでいるところに触れてみると、力みを自覚できるかもしれません。方法は人それぞれですが、力みのある辺りをゆすってみたり、軽く叩いてみると、フッと力みが取れることがあります。

そうしてまた指先を振り、振動が全身に伝わるか確認します。

これを繰り返して出来るようになったら、指先を振っている状態から静かに止まります。意識的に止めてしまうと新たな力みの元になるので、放っておいて振動が静まるのを待つ感じです。

これだけで、力みはリセットされます。

ちなみに、「力を抜く」というのは、ダラ~っとするのとは違います。それは「虚脱状態」といって、かえって疲れやすくなってしまいます

目安として、手を振った後に体が重たく感じるようならば虚脱状態、フワッと軽く感じるようならばリラックスです。

自然体とは「力を抜いた結果、自然にバランスが取れた状態」であり、最小限の力で体を支えているから疲れないのです。

身体の隅々まで振動が伝わることは、発声にも応用されます。

声を発すると振動が生まれます。リラックスした状態で声を発すると、その振動は全身に伝わります。

この振動は周囲にも影響を与えていて、「伝わる声」になるのです。

二人一組のワークで、一人がもう一人の背中や脇腹に手を添えます。添える手に力みがあると分からなくなるので、やわらかく触れます。

リラックスした状態で声を発すると、パートナーはその振動を手で触れることで分かるはずです。

身体に振動が伝わらないときは、全身リラックス運動に戻ります。

これを繰り返すことで、声の振動が全身に伝わるようになります。とても微細な感覚なので、本当にリラックスしないと分かりません。

いきなり大きな声を出す必要はなく、まずは振動が伝わるのを確認し、それから徐々に声量を上げていきます。

性能の低いスピーカーが音割れするように、身体に力みがある状態で大きな声を出すと粗雑な音になります。リラックスした状態で大きな声を出すと澄んだ音になります。結果として、遠くまで音が届きます。

「全身が楽器のようになる」と言われますが、本当にそうなります。

こういったことは俳優や声楽の皆さんにとって大切なテーマですので、心身統一合氣道の稽古で私は重点的に指導をしています。皆さん、全身リラックス運動をとても大事に稽古しています。

「伝わる声」は、心身統一合氣道の指導者には伝える上で不可欠です。特に、氣合いや号令では、そういう発声が求められます。

ビジネスパーソンがプレゼンテーションしたり、交渉したりする際も、自信に満ちた、信頼関係を構築できる声になります。

親御さんがお子さんに大事な話をする際も、伝わり方が変わります。落ち着いた、お子さんの心にスッと入っていく声になります。

全身リラックス運動は、いつでも、誰でもできる実践方法なのです。

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