《音声付き》リラックスの力

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「頑張る」という言葉があります。

「頑張る」には「どこまでも忍耐して努力する」という意味もありますが、本来は「我を張る」意味で用いられます。

頑張っているときは、力みが生じやすいものです。外から加わる力に対して、力みがあればあるほど影響を受けやすくなります。

藤平光一先生は「頑張ってはいけない」と、どうしたらリラックスできるかを具体的に教えました。

心身統一合氣道では、二人一組になってこのような稽古をします。

向かい合って、お互いに杖(じょう)という棒状の長い武器を構えます。そして、一人が相手の構えている杖を力いっぱい振り払います。

このとき、杖を構えている者に少しでも力みがあると、振り払われる力の影響を受けて、姿勢が乱れてしまいます。すると、もはや次の動きに対応することができません。

頑張っているとき、身構えているときは、特に乱されやすいものです。

それではどうしたら良いのでしょうか。

臍下の一点を確認し、盤石な姿勢であれば、どこにも力みのないリラックスした状態で杖を構えることができます。器に水を張ったとき、水面が無限小に静まっていく如く、心が静まっていきます。

このとき、杖を振り払われても、姿勢はまったく乱れなくなります。ゆえに、次の動きに対応することができます。

ちなみに、リラックスに似て非なるものに「虚脱状態」があります。リラックスした状態では積極的に身体の力を「抜く」のに対して、虚脱状態では身体の力が「抜けて」しまいます。

虚脱状態はもっとも弱く、何をするにおいてもまったく役に立ちません。リラックスした状態が最も強く、持っている力を存分に発揮できます。

心の面でも同じことがあります。

頑張っているときは、心にも力みが生じています。すると、外から受ける見えない力に対して影響を受けやすくなります。その代表的な例が「ストレス」でしょう。

頑張っている状態が、実はストレスを受ける要因の一つなのです。

自分の思い通りに物事が進まないときでも、リラックスして物事をありのままに捉えると、必要以上の影響を受けなくて済みます。

頑張ってしまって心に力みが生じているときは、影響を受けやすく、他人のちょっとした言動が氣になるときは正にこれでしょう。

ストレスに強くなるには、リラックスすることが「秘訣」なのです。

さらに言えば、「~しないように」という心の使い方をしているときは、かえって乱されやすくなるものです。

「氣にしないように」「失敗しないように」などたくさんありますね。

「怒らないように」とコントロールすると、余計に怒りが湧きます。「悲しくない」と自分に対して嘘をつくと、余計に悲しくなります。

人間なのですから、怒ったり、悲しんだり、感情は必ずあります。その瞬間に心に波が生じるのは当たり前です。しかし、次の瞬間には、その波が静まっていくのが自然の姿です。

波静まった水面に水滴が落ちれば、必ず波が生じます。その波は、時間と共に無限小に静まっていきます。生じた波がいつまでも静まらないとしたら、それこそ不自然です。

リラックスしているとき、心の波は自然に静まっていきます。

「~しないように」と自分の心を抑圧することを止め、リラックスした状態で、「さあ!いらっしゃい!」と正々堂々と物事と向かい合うときが、精神的にもっとも強い状態なのです。

企業研修やビジネスパーソン向けの講習では、力の抜き方を学び、持っている力を最大限に発揮することを訓練します。

それをきっかけに心身統一合氣道を始める方が少なくありません。

武道の稽古というと「厳しい」「辛い」「痛い」イメージですが、心身統一合氣道の稽古は、もっと前向きで楽しいものです。

関心をお持ちの方は、ぜひ一度、体験して頂きたいと思います。

 

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