聴く・伝える・反応する

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藤平信一です。

昔から、人間が抱える最大の問題は「人間関係」と言われています。

始めから壊れている人間関係もありますが、多くの場合、始めは良好で、些細なことをきっかけに「ボタンの掛け違い」の如く悪化するものです。

組織の長として、私は人間関係の相談を受ける機会が多くあります。

悪くなっている人間関係を瞬時に解決するような「魔法」は存在せず、ボタンの掛け違いの元となっていることを見つけ出すことが必要です。それには「どちらか一方の努力」ではなく「双方の努力」が必要です。

どちらか一方でも関係修復を諦めたり、無関心になっていたりすると、問題の解決は難しくなります。双方に解決の意思があれば、時間はかかっても必ず解決を出来ます。解決の意思がない場合、アプローチは完全に違うものになります。

なぜなら、問題の原因は「コミュニケーション」にあるからです。

コミュニケーションにおいて重要なことは沢山あるのですが、私は「聴く」「伝える」「反応する」を3要素と置いています。

相手の話を「聴く」、この当たり前のことが決して簡単ではないのです

「自分のことを理解して欲しい」「相手を説得したい」という状態だと、相手のことを全くみておらず、話が耳に入らなくなります。自分のこと・相手のこと・周囲のことも全く分からない状態ですので、適切な行動を取れなくなってしまうのです。

これは技の稽古と同じです。「相手を投げたい」「自分の思い通りに動かしたい」という状態だと、相手のことを全くみておらず、結果、導き投げることは出来ません。

臍下の一点に心を静め、心身一如で相手と向かい合うことで、話の内容は勿論、相手の「思い」も理解することが出来ます。

たとえ、相手の意見を否定し、却下しないといけない場合でも、ひとたび相手の「思い」を受け入れることが重要なのです。

相手に「伝える」ことも、「聴く」と同様に簡単ではありません

何かを伝えるとき、例えばイライラして心の状態が乱れていると、そのイライラが先に相手に伝わってしまって、耳を閉ざされます。伝える側の心がネガティブな状態でも、同じことが起きます。

知識や情報を伝えるだけならばどのような状態でも出来るかもしれませんが、「思い」のように形のないものを伝えることは難しいものです。

そもそも伝えるには、相手と「信頼関係」があるのが前提です。その上で臍下の一点に心を静め、心身一如で向かい合うことで、本当に伝えたいことが伝わるようになります。

ただし、順番は「聴く」→「伝える」で、逆は上手く行きません。したがって、「伝える」訓練より「聴く」訓練が優先されます。

「反応する」は、大抵は無意識の働きです。

相手が過激な言葉を使うと、その刺激に無意識に反応してしまって、さらに過激な言葉で応酬することになります。或いは、その反応を無理に抑えようとすると大きなストレスになり、心に過度な負担がかかります。

刺激そのものを止めることは出来ませんので、刺激が生じた後に、どのように対処するかが重要です。

このとき、最も良い方法の一つが「ひと呼吸おく」です。氣の呼吸法で息の吐き方(静まり方)を訓練している方であれば、ひと呼吸おくことで、刺激に対してすぐに反応せずに済みます。

相手が過激な言葉を使ったとしても、「どうかしましたか?」と相手を氣づかうだけの心のゆとりが生まれます。これは本当に大きいことです。

「聴く」「伝える」「反応する」それぞれを訓練しておくことで、相手や周囲とコミュニケーションを取れるようになって来ます

人間は一人一人異なる考えや意見を持っているのが当たり前です。だからこそ、話し合うことで良いものが生まれます。

「聴く」「伝える」「反応する」という基本が出来てさえいれば、変な表現ですが、安心してぶつかり合うことが出来ます。そこから素晴らしいものが生まれます。

この基本が出来ていないと、相手や周囲から拒絶されるのを恐れて、お互いが傷つかない適当な距離を取るようになります。その結果、何も生まれなくなります。

「聴く」「伝える」「反応する」は心を静めることで磨かれます心身統一合氣道の稽古を通じてご一緒に磨いて参りましょう。

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