『シゲコ!ヒロシマから海をわたって』トークセッション

「PEACE IN THE DARK」に参加した際、トークセッションが開催されることを知りました。

シゲコ!ヒロシマから海をわたって』という本があります。

広島で被爆して九死に一生を得た後、アメリカへ渡った笹森恵子(ササモリ・シゲコ)さんの人生を描いたノンフィクションです。シゲコさんは原爆で重い火傷を負い、「原爆乙女」として治療のため渡米。その後アメリカに定住して看護師として働きながら、全米各地の小中学校などで被爆体験や平和についての講演を続けてこられました。本当に素晴らしい本です。

著者の菅聖子さんは、取材を通してシゲコさんと交流を深め、その実像をよく知る方です。今回のイベントは、菅さんと「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」総合プロデューサーの志村季世恵さんによるトークセッションでした。私は事前にこの本のことを存じ上げなかったのですが、すぐに取り寄せて読んだところ、シゲコさんの「あり方」に深く感銘を受け、「どのような方だったのかお話を聞きたい」と思い足を運びました。

会場は終始、温かい雰囲気に包まれたひとときでした。シゲコさんは決して「特別なこと」をするわけではなく、常にニコニコと微笑みながら、ご縁のあった方々のお世話をされていたそうです。自ら周囲に話しかけ、側にいるだけで誰もが温かい気持ちになる。だからこそ、多くの方がシゲコさんを慕って集まっていたのだと知りました。

トークセッションで多くの学びを得ましたが、最も心に残ったのは「自分の心に平和があるからこそ、社会が平和になっていく」ということです。言い換えれば、自分の心に常に争いがあるのに、社会だけが平和になることなどあり得ません。シゲコさんは、それを意識することなく自然体で実践されていた体現者だったのでしょう。

平和とは空気のようなものです。なくてはならない存在ですが、今の日本ではあまりにも「当たり前」になりすぎて、その大切さを忘れています。すると、当事者意識が薄れ、「自分以外の誰かが保ってくれているもの」という勘違いが生じてしまいます。まずは自分自身の「あり方」こそが重要であると、改めて認識させられました。

自らの心が平和であることで、周囲の人々の心にもそれが伝播していき、結果として社会が平和になっていきます。「一灯よく万灯をともす」という言葉のように一本のロウソクの火が多くの火を灯していくことで、社会が変わっていきます。広島原爆の日である8月6日に、このように大切なテーマを考え直す貴重なきっかけをいただいたように感じます。

ちなみに、会場には心身統一合氣道を稽古されている方がおられ、嬉しい偶然に驚きました。この方は著者の菅さんと同級生とのこと。さらに菅さんは、今年2月に私がトークセッション(Kiフォーラム2026)でご一緒した同時通訳者・田中慶子さんの著書を担当された編集者さんだと分かりました。世の中は本当にご縁で繋がっているものだと実感させられます。

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