茂田井武『ton paris』とパリの画家たち

群馬での仕事の合間に、桐生市の大川美術館で開催中の「茂田井武『ton paris』とパリの画家たち」を鑑賞しました。茂田井武(もたい たけし)氏は20世紀中頃に活躍した童画家です。

1930年、わずか21歳の青年だった茂田井氏は、抑えきれない情熱を胸にシベリア鉄道に乗り込み、単身パリへと向かいました。現地で生活のために働きながら、限られた時間の中でひたむきに筆を動かし続けました。

その結晶が、約100点の絵を一冊に編んだ画帖『ton paris(画帖・トン・パリ)』です。

水彩や色鉛筆で彩られた柔らかな色調に、思わず目を奪われました。茂田井氏の作品は自然体であり、そこには一切の「力み」や「てらい」が感じられません。放浪生活という環境に身を置きながらも、街角の人々を見つめる視線には何とも言えない温かさが宿っています。

対象となる風景と一体になり、真っさらな心でありのままを映し出す。情報が溢れる現代だからこそ、そうした純粋な視線で世の中を見つめることの価値を深く感じました。

私は幼い頃に父の側で墨絵の真似事をした経験しかありませんが、これを機にデッサンを学び、日々の暮らしの中で感じることを描いてみたいという思いに至りました。

この展覧会は明日が最終日です。

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