及川浩治 オール・ショパン ピアノ・リサイタル

サントリーホール(東京)で行われた及川浩治さんのピアノリサイタルに行って来ました。及川さんは1967年生まれ、様々な国際音楽コンクールで受賞されている日本のピアニストです。今回はショパンの曲だけで構成された「オール・ショパン ピアノ・リサイタル」です。

サントリーホールには「P席」というステージの奥の座席があります。ステージにとても近くて臨場感はあるものの、音の響きは難ありと言われています。ピアノリサイタルではそこまでの影響はないと聞いていたことと、演奏者の動きをよく見たかったことから、あえてP席を選びました。

演奏者のイスに座る姿勢、手の運び方、指の使い方、ペダルの踏み方など、全身の動きが細かなところまで近くからよく見えて、たいへん勉強になりました。舞台の役者が全身で表現するように、ピアノの演奏者もまた、全身の動きによって表現されることが良く分かりました。

構成は前半がエチュード(練習曲)からの選曲、後半がバラードとスケルツォからの選曲でした。

  『12のエチュード』(作品10・作品25からの選曲)
  練習曲 ハ長調 Op. 10-1 
  練習曲 イ短調 Op. 10-2
  練習曲 ホ長調 Op. 10-3 「別れの曲」
  練習曲 嬰ハ短調 Op. 10-4
  練習曲 変ホ短調 Op. 10-6
  練習曲 ヘ長調 Op. 10-8
  練習曲 変イ長調 Op. 10-10
  練習曲 ハ短調 Op. 10-12 「革命」
  練習曲 ホ短調 Op. 25-5
  練習曲 嬰ト短調 Op. 25-6
  練習曲 変ニ長調 Op. 25-8
  練習曲 イ短調 Op. 25-11 「木枯し」

  バラード第1番 ト短調 Op. 23
  スケルツォ第2番 変ロ短調 Op. 31
  スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op. 39
  バラード第4番 ヘ短調 Op. 52

演奏者がひと言も語らない、ピアノの演奏だけのリサイタルでした。後半のバラードとスケルツォが重厚感のある演奏で、スケルツォ第3番の迫力が特に心に残りました。アンコールはノクターン第1番と第20番(遺作)でした。静かな曲も音色がとても美しかったです。

ただ、音の響きではP席は私には合っていませんでした。グランドピアノの屋根が座席に対して音を遮る位置にあるためか、ホテルラウンジのピアノの生演奏を少し離れた場所で聞くような「遠さ」がありました。今回は、近い距離で全身の動きを見られたことだけで十分とします。

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