東京都美術館で開催されている「デ・キリコ展」に行って来ました。
ジョルジョ・デ・キリコ(1888年~1978年)はイタリアの画家・彫刻家で、「形而上絵画」と名付けた作品群が良く知られていますが、伝統的な絵画も数多く残しています。90歳という長寿で、この展覧会では、その初期から晩年まで、時代と共に大きく変化していく様子が見られます。
展覧会のポスターのマネキンに代表される、デ・キリコの形而上絵画は「謎」だらけ。その解釈は無限にあり、正直に言って良く分かりません。しかし、形として捉えられるものではなく、形として捉えられないものの描写に感じました。例えば、私たちは頭では「人を理解している」と思い込んでいますが、実際そんなことはなく、無意識ではマネキンのように捉えているかもしれません。
「氣」には形がありません。臍下の一点に心が静まっているときに全身で捉えられます。頭で考えれば考えるほど、意識すればするほど捉えられなくなります。心身統一合氣道の技の動きは、身体の動きを追いかけているうちはうまくいかず、氣の動きを的確に捉えてうまくいきます。同じ動きを見ていても「見え方」が異なるわけで、その見え方を習得することが最も難しいところです。
形而上絵画に意味があるのか、意味がないのか。「意味がない」というのも意味づけですから、そもそも意味の問題ではなく、形はなくても、確かにそこに「ある」ものの見え方なのでしょう。当時の時代背景と共に、デ・キリコの見え方が変化していくところが、とても印象的でした。
この展覧会は8/29(木)まで東京都美術館(上野)で開催され、その後は9/14(土)~12/8(日)に神戸市立博物館で開催されます。東京では、あと数日です。