「種の起源」のダーウィンによる、あまりにも有名な言葉があります。
生き残る種とは、最も強いものではなく、最も知的なものでもない。
それは、変化に最もよく適応したものである。
連綿と繋がっていく生命において、重要なのは適応だということです。
新型コロナウイルスの世界的な感染の拡がりによって、私たちを取り巻く社会情勢は、想像もできないほど変化しています。
今まで当たり前のように出来てきたことが、出来なくなっています。この状況だけをみれば、悲嘆するしかありません。
心身統一合氣道会には全国で350箇所に道場・教室がありますが、何とか稽古を出来ているところ、全く稽古を出来ていないところ、地域によって状況は様々です。
海外の状況はもっと深刻で、一部の国では外出禁止令が出されていて、稽古などの活動は完全に出来なくなっています。
もし、日本のどこかで同じように爆発的な感染拡大が生じた場合は、道場・教室の活動は、間違いなく出来なくなってしまうでしょう。
それは、私たちが世の中の役に立てなくなることを意味しています。
心身統一合氣道の創始者である藤平光一先生は、「氣を出す」とは、「出来ないことに執着せず、出来ることを見つけて全力を尽くす」
ことだと、日々、道場で説いていました。
調子の良いときに氣が出ているのは当たり前。調子の悪いときに、いかに氣が出ている状態を維持できるか。それこそが「稽古」であると教わりました。
ああ、今こそ稽古なのだな、と思います。
最悪の状況を想定したとき、私たちに一体、何が出来るだろうか。
その一つとして、「Zoom」というオンライン会議サービスを用いて、一部の道場で、オンラインの稽古を試験的に始めることにしました。
勿論、感覚の伴う稽古は、実際に道場でしなければ出来ませんが、そうでない稽古も少なからずあります。むしろ、オンラインだからこそ、集中的に出来る稽古もあります。
外出自粛で自宅から出られないと、氣は滞りやすいものです。ひとたび氣の滞りが生じると、心身共に様々な不具合を起こします。
心身統一合氣道の稽古は「氣を出す」ことが目的です。
このオンラインの稽古を通じて、氣の滞りを解消するサポートを私たちは出来るのではないかと考えています。オンラインですから、世界に向けて発信することが出来ます。
こんなことは、平時であれば全く考えなかったかもしれません。「稽古は道場ですべきもの」という固定観念が根強く、環境が変化したからこそ、チャレンジ出来ることだと思います。
混迷の時代ゆえに、なすべきことがあると信じています。
生命の本質は「生き残る」ことです。
生き残るためには、適応することが最も重要です。現状を否定せず、総てを受け入れて、出来ることを探すことです。
新型コロナウイルスの影響も、永遠ではありません。生き残りさえすれば立ち上がる機会は必ず訪れます。
この逆境を、ご一緒に乗り越えて参りましょう。
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