2020年からNetflixで配信されている韓国ドラマ「愛の不時着」、すでにご覧になった方も多いことでしょう。
このドラマは韓国の国内のテレビチャンネルでも放送されましたが、世界に向けて発信する前提で制作されました。
そのため、国内の目先の視聴率や評価を過度に気にかけることなく、世界に通じる作品を目指し、時間と予算をかけて作られたそうです。
異なる言葉や文化で通じるものこそ真のエンターテインメントであり、世界190カ国に配信されて人気を得ていることが、その実証です。
この制作スタジオでは、世界に向けてドラマを制作し続けています。
心身統一合氣道においても、言葉・文化・宗教を超えて伝わってこそ、真の内容だと捉えています。
限られた対象者だけに伝えて、理解されることを目指すのだとしたら、決して最高のものにはなりません。
この視点で、常に私は自身の指導内容や技能を磨いています。
先日は、アメリカのミシガン大学のMBAコースの学生に指導しました(ブログ記事はこちら)。
私が師範を務める慶應義塾體育會合氣道部の卒業生が同校に進学し、同級生を母国に案内するプログラムを担うことになりました。
卒業生たっての希望で、この一環で私が指導することになりました。
当然のことながら、「合氣道」を知らない学生が多くいるわけです。合氣道で用いる固有名詞は全く通じませんし、そもそも英語での指導です。本質的な内容でなければ伝わりません。
勿論、日本文化に触れるというだけでも一定の価値はあるのですが、学生たちが腹落ちするように伝わるかで指導の真価が問われます。
共通するのは、「体験」こそ、最も伝わる手段であることです。
講習では「自然な姿勢(統一体)」「臍下の一点」「日常生活の動作への活用」を、直に相手して一人一人に体験して頂きました。
学生たちは驚きの声をあげ、その高い理解力に私も驚きました。
臍下の一点に心が静まっている状態から生じる動作はぶつからない。
ビジネスにおいて、特に、リーダーシップやコミュニケーションで、「心を静める」ことが重要であることを瞬時に理解していました。
プログラムが総て無事に終わった後に、面白い話を耳にしました。講習の翌日、観光で行った屋形船の中で腕相撲大会をしたそうです。
優勝した学生は、相手を負かすというマインドではパフォーマンスを発揮できないので、心を静め相手を理解することを徹底しました。
学んだことをすぐに活かしていて、しっかり伝わったようです。今回の経験がどのように学業や仕事で活かされるのか楽しみです。
同じ環境、同じ対象者に伝えるだけでは、指導技能は磨かれません。
「変わらない」ことは楽ではあるのですが、向上しないのです。ゆえに私は、自ら求めて異なる環境や対象者に伝えることをしています。
- 言語・文化・宗教の異なる人に伝わるか。
- お子さんに伝わるか。ご年配の方に伝わるか。
- 障害をお持ちの人に伝わるか。
- アスリートに伝わるか。アーティストに伝わるか。
- 企業・団体といった集団に伝わるか。
- 書籍で伝わるか。文字で伝わるか。
- テレビで伝わるか。ラジオで伝わるか。
普遍性と再現性をもって、より広く、より深く伝わるのが真の内容です。
今後もあらゆる挑戦を続けていきたいと思います。