今日の結果、明日の結果

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藤平信一です。

本年も全日本心身統一合氣道競技大会を無事に開催することが出来ました。

この競技大会の目的は「技の優劣を競い合うこと」ではありません。「心身統一の深さを競い合う」ことが目的です。つまり、「持っている力をどれだけ発揮出来るか」を競う大会です。

そうであっても、「争わない武道」であるはずの心身統一合氣道で「なぜ競技を行うのか」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。

その答えは、「競う」ことと「争う」ことの違いにあります。

「競う」という心の状態には、常に相手に対する敬意があります。切磋琢磨するときがそうで、相手を認めることによって氣が通うのです。

「争う」という心の状態には、常に相手に対する敬意がありません。相手を見下したり、軽蔑したり、叩きのめしてやるというときがそうで、相手を否定することによって氣が滞るのです。

自分一人の努力だけでは成長に限界があり、良き相手と競い合うことで、その限界を超えることが出来ます。

藤平光一宗主がまとめた誦句集の一節に「争わざるの理」があります。これは自らの中に争う心を持たないことを説いたものであり、競うことを否定したものではありません。

日本では昨今、競うことが悪いことだと考える人が多くなりました。競うことを否定することは、成長の機会を自ら放棄することと同じで、近年、日本が国力が衰えて来ている一因はここにあるかもしれません。

私自身、今から20年以上前に選手としてこの競技大会に参加しました。

当時、苦しい思いをしながら、同じ技を何度も繰り返し錬っていました。その過程において、「何のためにこんな苦しい思いをするのだろう」と疑問を感じた時期もありました。

その疑問は、競技大会の本番に臨んで明らかになりました。どれだけ能力や技術があっても、いざという時に力を発揮出来なければ意味がありません。

最も重要なのは、大事な場面で持っている力をどれだけ発揮出来るかです。そのために「臍下の一点」「リラックス」「落ち着き」「氣を出す」ことなどを稽古を通じて学んで来たことに氣がつきました。

本番では、私は力を発揮出来た部分、出来なかった部分がありました。その両方から学んだことが、社会に出てから大いに役立ちました。

競技大会である以上、お互いに全力を出した結果で順位が決まります。結果は尊いものですが、最も重要なことはそこから何を学ぶかです。

今大会で望む結果を得られた人も、その結果は「今日の結果」であり、「明日の結果」ではありません。明日は明日で、持っている力を発揮出来るかが問われています。そのための稽古です。

望む結果を得られなかった人も、その結果は「今日の結果」であり、「明日の結果」ではありません。どうしたら持っている力をより発揮できるようになるか、稽古によって磨くことです。

学生生活の貴重な時間を使って稽古に励んだ学生の皆さんには、今大会で得た経験を、いずれ迎える社会生活に是非活かして頂きたいと思います。

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